IFRS(国際会計基準)採用によるメリットとは?

IFRS(国際会計基準)採用によるメリットとは?

本日は会計基準に関する記事を取り上げてみようと思います。

http://toyokeizai.net/articles/-/121240

この記事によると、NTTグループは2019年3月期から会計基準を米国式の会計基準から、国際会計基準(IFRS)に変更するということです。

会計基準というのは損益計算書や貸借対照表等の財務諸表の作成に関するルールと考えていただければ良いかと思います。
世界基準を設ければ混乱もしないのですが、米国式会計基準やEU等で使われている今回取り上げたIFRS、また日本では日本独自の会計基準を採用していたりなど統一されていないのが現状です。
それを変えるためにIFRSを世界基準として統一しようとする動きがあるようです。

そのIFRSの導入というと2010年前後に日本でも話題となりましたが、アメリカで適用を見送られたため以前に比べて下火になっていました。

それがこのタイミングでNTTグループがIFRSを適用するということです。
従来のIFRSを採用するメリットというのが「のれん」に関する日本の会計基準とIFRSの定義の違いからもたらされる経常利益の上昇でした。

そもそも「のれん」とは企業がM&Aなどで合併するときに、買収した企業が払ったお金と買収された企業の純資産との差額を言います。
例えば企業Aが1億円で企業Bを買収したとして、企業Bの財産(純資産)が8000万円分あった場合、差額の2000万円が「のれん」となります。
差額が発生するのはある意味当たり前なのですが(今まで月30万円の給料で働いていた人が、20万円で働いてくれと言われて理由もなくYESとは言いませんよね)
この差額「のれん」はその企業のネームバリューやブランドイメージなど数値として具体的に表すことのできない付加価値として扱われています。(難しい言葉では超過収益力とか言ったりします)
この「のれん」ですが、日本の会計基準では「のれん償却」として毎年費用計上して償却する必要があります。
簡単にいうと毎年「のれん」にお金がかかってしまうため、その分利益が少なく見えてしまいます。
一方、米国式会計基準やIFRSは「のれん償却」をしないため、その分利益が多く見えるというわけです。
IFRS側にも規定などがあったりしますが基本的にはこんなところです。

しかし記事にもある通りNTTグループでは元々「のれん」についてはIFRSと同様のれん償却のない米国式の会計基準を採用しているため「のれん償却」のメリットはあまりありません。

NTTが目をつけたメリットとはむしろ原価償却の償却方法であると記事は伝えています。
IFRSの減価償却方法は定額法(毎年同じ額を費用とする)を採用しているため、定率法(最初の方が費用が大きく年々少なくなる)に比べて償却開始から数年は償却額が少なります。
そのぶん営業利益が押し上げられます。
その額グループ全体で4800億円!
これは大きいですね。

さらに「のれん償却」がないことで海外M&Aも進むのではないかと言われています。
「のれん償却」がないことでM&Aがしやすくなるのは上記でも述べた通りです。

一時期より勢いがなくなったとはいえ、まだまだこれからもIFRSの動向から目が離せなさそうです。

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